モチベーションの真実@TED。

TEDというカンファレンスがあり、そのWebサイトでたくさんの神プレゼンが見られる、ということを今日知ったのですが、いやあ〜めちゃくちゃ面白い。


TED.com


どんな団体なの?という方はこちら。
TED(カンファレンス)- Wikipedia


面白い内容が満載なのでいくつも連続で見てしまったのですが、特に印象に残ったのがこの講演。


「AをすればBをやる。だからAを頑張れ」という「ニンジンぶら下げ方式」の是非についてのお話です。内容も驚きならプレゼンも上手すぎて驚き。


あまりに面白かったので、気に入ったところをを訳してみました(Googleの20%ルール、みたいな、それなりに日本でポピュラーそうな話など、いろいろはしょりましたがご容赦ください)

… プリンストン大学のサム・グロスバーグは、集めた参加者にタスクを与えました。1つめのグループには、このタスクをなるべく速く行え、と指示を与えました。2つめのグループには、このタスクをなるべく速く行え、と指示を与えるとともに、タイム上位25%には5ドルを、タイム1位の者には20ドルを与える、と指示を出しました。実験当時の価値で言えば、この報酬はモチベーションをかきたてるには良い金額です。


さて、問題です。報酬を予告されたグループは、もう一方のグループに比べ、どれだけ速くタスクを完了できたでしょうか?


答えは、「報酬を予告されたグループの平均タイムは、もう一方のグループの平均に比べ、3分半遅かった。」です。


え?意味不明って思いますよね?私もアメリカ人です。自由市場を信じています。こんな結果あり得ない、って思いますよね?


人により能力を発揮してもらいたかったら、報酬を出しますよね?ボーナス、コミッション、などなど。それがビジネスの仕組み。でも、ここでは、そのシナリオと全く逆のことが起きています。


… 「もしもこれをやったら、あれが手に入りますよ」というモチベーションへの働きかけは、一部のタスクでは効果を発揮しても、多くのタスクでは、効果がないどころか、むしろ害悪にさえなるのです。これが、社会科学における、非常に大きな、でも一番無視されている発見なのです。


… ルーチンのみの左脳的な仕事は、外注されたり、自動化されていきます。右脳や創造性、コンセプチュアルな思考を使うようなを使うような仕事をどう行うのかが問題です。あなた自身の仕事はどうですか?ルールはわからない、解決策もわからない。こうした種類の、あらゆる分野の仕事では、


この「もし○○をすれば、報酬をあげます」ってモデルは、効果がないんです!


… MITの生徒を使った実験でも、「機械的な技能のみを使ったタスクでは、ボーナスは機能しました。より多く払えば、よりパフォーマンスが上がる。しかし、タスクが初歩的な認知スキルを必要とするものに変わった瞬間、高いボーナスは、パフォーマンスの悪化に繋がった。」と出ています。


… 新しいビジネスのためのOSは、3つの要素に分解できます。Autonomy (自分の人生を自分で方向付けたいという力)、Mastery(より良くなろうとする望み)、PURPOSE (自分たちよりもより大きなもののために、何かをやりたいというあこがれ)。


… まとめます。
1.報酬という働きかけは、非常に狭い範囲でしか機能しない。
2.「これをやったらあれをあげよう」というモデルは、クリエイティビティを破壊することが多い。
3.ハイ・パフォーマンスの秘密は、報酬と罰ではなく、目に見えない本質的な動機から生じる、やりたいからやるんだ!という力にある。


素晴らしいと思うのは、私たちの心が正しい!と思っていたことを、科学が証明した、というところにあります。


もしも、科学が示していることに対して、ビジネスがズレたことをやっている、ということを正し、「アメとムチ」というモデルを捨てれば、ビジネスを正しい方向に向かわせるだけでなく、、、世界を救うこともできるかもしれません。


いちいち頷きながら聞いたスピーチでした。多国籍の字幕が用意されているのですが、日本語の字幕がないのが残念。