催眠誘導のごとき経営理念。

ここ最近、企業のミッション・ステートメントって面白いなあ、と思うようになったこともあり、日経225企業を中心に、いろいろな企業のステートメントを見て回っています。そんな中で気づいたことが一つ。


「社会貢献、、、」
「文化の進展に、、、」
「豊かな生活、、、」
「高い付加価値、、、」


といった、ずいぶんと奥歯に挟まったモノの言い方が多いなあ、という印象。こうした、本来は動的・プロセス的なものに名称をつけてそれでOK、としちゃうのをNLPなどでは「名詞化」といいますが、この「名詞化」だけで出来ちゃっていて、いったい何を言っているのやらよく分からないステートメントがけっこう多いのです。


社会に益する願いというのは素晴らしい、とは思うのですが、これでは何も言っていないに等しいのでは?と思ってしまいました。就職・転職をしようとして面接に来た人間が、こういう種類の物言いをしたら



とばかりに、一発で落とされてしまうのではないか?というような言葉の使い方です。


こうした、名詞化が激しい文というのは、中身が良くわからなくて通じない上に、読んでいるだけで眠くなります。現代催眠の語法を見ているがごとくです。現代催眠でも、「名詞化」は、相手を催眠状態に入れる手段のひとつとして言われますので、眠くなるのも無理はありません。


名詞化によるオブラートを一枚取り払った後の、ある程度具体性を保ちながら抽象化できる限界レベルの内容こそが、顧客・株主などの知りたい内容なのに、そこを表現できていないのはもったいないなあ、、、と思うのでした。


私がこんなに名詞化にセンシティブなのは、NLPを学んでいるからだとは思うのですが、他のNLPerの方でも、名詞化に注意!と呼びかける記事を書いている方がいらっしゃいました。
http://d.hatena.ne.jp/tritune/20080416/1208275054

会社の社長の社員に対するスローガンも名詞化。

ああ、やっぱり同じところに目が行くのですねえ。ありますよね。お客様第一とか、欧米では"Pursuit of Excellence"とか。何のこっちゃ。


この方も書いていますが、名詞化を解いて、より具体的なレベルに落として始めて見えてくることって多いのですよね。欲を言えば、具体化→抽象化→具体化、、、と、何往復かした方が、より深くその対象が見えてくるような気がします。


参考リンク:
企業のミッション・ステートメントについて考えてみた。
http://d.hatena.ne.jp/Awayann/20091114/1258143365