ライトセイバーの作り方@定格電力50メガワット。

Sci-Fi Science という米国のTV番組の存在を最近知りました。日系アメリカ人で、ひも理論を研究している物理学者のミチオ・カク(加來 道雄)氏が、SFに出てくるものを現実にしてしまうためのアイデアを披露する、という番組。

YouTubeで最初に見つけたのが、下のライトセイバーの作り方」

何でも切れて、敵のライトセーバーも防げる!という性質を持つライトセイバーを作る方法の紹介でした(@口@;)。最先端の科学者がネタ承知でこういう番組に出演しているというのは楽しい!ですね。

映像はこちら。英語なので、映像の後に概要だけ翻訳を書いておきます。

それにしても、50メガワット(小さな町1個分)の電力に、太陽表面と同等の温度、、、スターウォーズに出てくるライトセイバーは、かなり危険なスペックのシロモノのようです(笑)

Part1: レーザーを使ったら?

■ 必要な部品は、電源付きのハンドルと、何でも切ることができる3フィートの刃。
■レーザーを使う、というのは一つの案。何でも切ることができるだけのパワーは十分に出る。レーザーに必要な水晶(クリスタル)の成長は現代でも容易に出来る。サイズ的にも、ハンドルに収まる大きさで事足りる。
■但し問題はある。一つ目は、明かりの下では見ることができないこと。
■これが仮に解決したとしても、二つ目の問題がある。レーザーは途中で止まらないということだ。直線上のものを何でも破壊してしまう(場合によっては軌道上の人工衛星も!)というのは余りに危険だ。ヨーダでも扱うのは難しいだろう。最新の科学では、理論的には、3フィートの長さで止まるレーザーは実現可能だが、ライトセーバーに想定されるパワーを封じ込めることはできそうにない。

Part2: プラズマを使ってみては?

■プラズマは、ライトセーバーを作るヒントになるかもしれない。プラズマというのは、液体・固体・気体のいずれでもない、物質の4つ目の状態だ。板金加工で使うプラズマトーチは鉄を切ることができるが、これは酸素を超高熱に加熱することでプラズマを発生させている。
■板金用のプラズマトーチは、2700W−およそ2世帯分−の電力を必要とする。この出力を数千倍−だいたい小さな町ひとつ分−まで上げることができれば、プラズマを使って、何でも切ることができる武器を作ることは可能だ。
■そこまでのパワーのプラズマが、何の制御もなしで3フィートもの長さに及ぶというのは非常に危険だ。しかし、磁力の力を使えば、プラズマの形状を整えることもできる。
■しかしここでも問題は残る。これだけだとプラズマを使った大きな松明に過ぎない。相手のライトセーバーとぶつかっても通りすぎるだけ。相手の攻撃を防ぐことができない。
■特別なプラズマ発生装置−3フィートの長さに伸びて、その周囲にプラズマを発生させるもの−が必要だ。
■ほとんどどんなものでも切ってしまうような高熱に耐えるには、セラミックが最適だ。セラミックは、宇宙船が大気圏に再突入するときにも使われていて、4000度の熱にも耐えることができる。但し、ライトセーバーに使うには全く新しいタイプのセラミックが必要だろう。
■望遠鏡のように伸縮可能なセラミックの筒に穴を無数に開け、そこからプラズマを放出するようにすれば良い。
■次の問題は電源だ。50メガワット程度の電力が要る。鉄をサクサク切るレベルを実現するには、プラズマを、太陽の表面温度程度までに加熱する必要があるのだ。これだけの電力を供給できて、15センチのハンドルに収まる電源が必要だ。

Part3: 電源はどうする?

■50メガワットの超小型バッテリーを実現するヒントは、カーボンナノチューブにある。
カーボンナノチューブの太さは、髪の毛の1/2000程度である上に、そのユニークな構造により、単なる炭素と異なり電気を導通するという特性を持っている。伝導率は銅の1000倍。
カーボンナノチューブ製のプレートを何兆重にも重ねてバッテリーを作れば、ハンドルに収まるサイズのバッテリーができる。
ナノチューブの育成スピードは速いため、育成方法が確立すればバッテリーを作ることは可能だろう。


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